Definition

ちょっとまって!偽保護犬・偽保護猫の有償譲渡にご注意ください。

当NPOは、X(旧:Twitter)SAP公式アカウントにて「オンライン上の里親募集URL」に、ハッシュタグ「#これって保護犬」や「#これって保護猫」「#これって保護うさぎ」を添えて投稿されたツイートに対して、以下の定義に基づき、当該のURLで里親募集されている動物が保護動物として認められるかどうかについて、当NPOとしての見解を示します。

  1. 第一章 本定義の目的

    1. 保護犬や保護猫の里親文化が拡大する中、里親希望者の善意を利用した「偽保護動物の有償譲渡」(「保護ビジネス」「下請け愛護」などと呼ばれている)が横行し、多くの里親が意図せずにブリーダーやショップによる無計画な過剰繁殖を支えている現状を考慮し、当NPOは以下の通り保護動物を定義し、問題を広く周知するとともに、健全な里親文化を守ることを目的とします。
  2. 第2章 偽保護動物の有償譲渡の現状と問題点

    1. ブリーダーやショップから「売れ残り」「商品価値のないペット」「繁殖引退ペット」(以下総じて「余剰ペット」という)」を仕入れ、自称愛護団体が「保護動物」として里親募集を行い、「譲渡費用」として不当な請求を行う偽保護動物の有償譲渡が横行しています。
    2. 医療費や保護経費、寄付金といった譲渡費用に留まらず、フードの定期購入やペット保険の抱き合わせ有償譲渡による収益化も増加しています。
    3. 大手ペットショップでは、自社の余剰ペットを保護動物の様に演出し、有償譲渡や抱き合わせ販売を行うことで、経費削減や利益率の向上を実現しています。
    4. これらの行為により、過剰繁殖を問題視して里親を選択した消費者が、皮肉にもブリーダーやショップによる不適切な過剰繁殖を支える事態となっています。
    5. 里親が負担する譲渡費用が、結果的にブリーダーやショップの収益となっている構図は何ら許容できるものではありません。
    6. 偽保護動物の有償譲渡は、悪質なブリーダーやショップによる水面下での殺処分を避ける点で一定の価値は見出せるものの、新たな余剰ペットを生み出す結果となり、動物愛護の観点からは妥当性がないと言えます。
    7. また、偽保護動物の有償譲渡は生体販売であり、これを行う愛護団体の多くが動物愛護法の販売資格を持っていないと考えられます。さらに、譲渡費用と称した売上が非課税収益となっている点も問題であると言えます。
  3. 第3章 保護動物の定義

    1. 保護動物とは、保護者が里親に譲渡する際、以下の基準のもとで、里親からの譲渡費用受領が妥当とされるものと定義します。
      1. 余剰ペットの健全な飼育はブリーダーやショップの義務であり、里親募集を外部に委託する場合の譲渡費用は事業者が全額負担すべきで、里親に負担させる妥当性はないと考えます。
      2. 前項に関して、資金のないブリーダーやショップは、動物愛護の観点から廃業すべきです。しかしながら、事業を続ける場合には、譲渡費用負担者に対し、動物愛護の観点から健全な事業計画と譲渡費用の返済計画を示すべきであり、これを里親が了承する場合のみ、譲渡費用を里親に負担させる妥当性を認めます。
      3. 保護動物は野生化して繁殖する場合を除き、飼育放棄者が存在するものとします。飼育放棄者と保護者が同一または親類、友人、事実上利益を共有する関係にある場合、譲渡費用の受領は妥当でないと考えます。
    2. 以下の条件においては、本章1項に関わらず、それぞれ以下の通り保護動物と定義します。
      1. 経営破綻や廃業したブリーダーやショップの在庫動物を保護し里親募集する場合、これらの動物は保護動物と定義します。ただし、里親募集時には、該当のブリーダーやショップの第一種動物取扱業登録番号や称号を明示し、経営破綻や廃業が事実であることを示す必要があります。非開示を希望する場合、合理的な理由があれば、当NPOにのみ情報を開示し、保護動物として認定することができます。
      2. ブリーダーやショップが余剰ペットの飼育を放棄し、譲渡費用の負担をしない場合、これらの動物は保護動物と定義します。ただし、里親募集時には、該当のブリーダーやショップの第一種動物取扱業登録番号や称号を明示し、該当事業者を示す必要があります。合理的な理由があれば、当NPOにのみ情報を開示し、保護動物として認定することができます。
      3. 野生で繁殖した動物を保護した場合、これらは保護動物と定義します。
      4. 保健所や自治体から保護の依頼を受けた動物は、経緯を問わず保護動物と定義します。ただし、里親募集時には、該当の保健所や自治体を示す必要があります。合理的な理由があれば、当NPOにのみ情報を開示し、保護動物として認定することができます。
      5. ショップやブリーダーを除く、前飼い主から何らかの事情で保護を依頼された動物は保護動物と定義します。
      6. 迷子の動物について、法令に従い飼い主を探しても見つからない場合、保護動物と定義します。
    3. 以上の各項目をもって判断ができない場合には、個別事案事について当NPOにて都度審議するものとします。

最終改定日
特定非営利活動法人⽇本動物保護取扱環境⽀援機